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-フィリピン技術協力事業 現地リポート-

No.15:アトックの研修会

 こんにちは。ロンロン集落の研修に引き続き、6月10日にはトリニダッド町から約50キロ離れたアトック町でも、炭と木酢の研修会を開きました。アトックはラ・トリニダッドよりも北でもっと山奥です。ここの一つのバランガイ(集落)がセミナーの会場、参加者は農家の人たち、集落の役員、役場の農業担当者など合わせて40人でした。

初めに木酢とは何か、また木酢を野菜に対してどう使うかを話しました(写真1、2)。木酢は英語で言うとWood Vinegar。みんな食卓に上る酢と同じようなものを想像してしまいますが、木や竹・その他木質のものを蒸し焼きにして出てくる煙を冷やしてできる液体のことであり、「堆肥製造の際発酵を促進すること」「土壌に施すと有用微生物の繁殖がよくなること」「葉面散布すると一部の病害虫を防げること」など、多様な効果があることを説明しました。フィリピンではまだ木酢が普及していないこともあり、参加者は熱心に聞き入っていました。

(写真1)研修会レクチャー風景(集落の集会場)。 講師席は左から横森さん、中島(立って話している (写真2)研修会では、プロジェクトで作った木酢を展示。 立って説明しているのはジョシーさん(農業省)


 引き続いて畑に出て、堆肥(コンポスト)の作り方の研修を行ないました(写真3、4)。野草そのほかの有機資材を使い、炭と木酢を加えて堆積するやり方は、ロンロンの研修会と同じです。

(写真3)農場で実演・実習:刈り取った雑草を押し切りで10−15センチに裁断して地面に広げる (写真4)農場で実演・実習(続き):その上に鶏糞、くん炭などを堆積し、木作を注ぐ。

 研修参加者に実習の中でも、木酢に限らず地域にあるもの、つまり雑草なり、モミガラなり、その他さまざまな有機物を使って健全な土を作り、そこで病虫害に強い高品質の野菜作りすることが大切であることを説明しました。同時に土作りには時間と根気が必要であることも参加者はよく理解してもらえたと思います。

 アトック町では、この技術で土作り、野菜生産を行なう実験圃場を設置しようという話が持ち上がりました。これをきっかけにプロジェクト参加者グループの一層の広がりを期待したいと思います。

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