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-フィリピン技術協力事業 現地リポート-
(土壌・資源保全に配慮した安全野菜生産・流通プロジェクト)

No.3:パラワン島の農家との出会い

こんにちは。今回はパラワン島レポートの後半、島で出会った農家さんを紹介いたします。


まず1件目、ナラ村でココナッツ、バナナの栽培と約100頭の山羊を飼育するジョフリーさんです。彼は数年前に横森氏が来訪した時に炭焼きに関心を持ち、自分で簡易型の炭窯を作った方です。すでに木酢を農業の現場で活用しており、確かな効果を実感しているとのことでした。

下の写真で紹介している木酢の活用例は彼が自分なりに勉強し実践しているもので、横森氏も驚くほど効果的に利用していました。彼の農場が木酢技術の発信基地になることを期待しています。



農場主のジョフリーさん。
パラワンでもいち早く木酢を活用した行動派。
<ヤギ舎の様子>床がすのこになっていて、
糞が地面に落ちるようになっている。
<ヤギ舎の下の様子>薄めた木酢を散布することで消臭・消毒、糞の発酵促進など様々な効果が得られる
<ヤギ舎の下の様子>薄めた木酢を散布することで消臭・消毒、糞の発酵促進など様々な効果が得られる

もう1件は同じくナラ村のフェロミナ・ジャニバさん(女性)の農場です。

向かって左側がフェロミナさん、
右側はフィリピン農業省地方事務所の職員グアダさん

彼女は水稲(20ヘクタール)、野菜、果物、アヒル、豚を生産する複合農家で、家畜、家禽の糞と植物の残渣で作った堆肥と籾ガラくん炭を土に返す循環農法を実践しています。アヒル3000羽を飼い、日本のアイガモ農法に似たやり方で水稲に使っています。土作りを基本とした栽培技術は私達のプロジェクトにも大いに通ずるところがあります。

 水稲は有機栽培でありながら生産量は地元の慣行栽培よりも多いとのことです。優れた生産技術が評価され、何年も農業省から表彰を受けるほどの実力派です。新しい技術の導入にも非常に積極的で、木酢の技術についても強い関心を持ってくれました。きっと次回私達がパラワンを訪れる頃には更なる発展を遂げていることでしょう。

農家の敷地内で実る真っ青な
マンゴー。
黄色く熟してから収穫する場合もあるが、真っ青のものを置いておいても黄色い甘いマンゴーになる。
ご自慢のマンゴーで作ったマンゴージュース。

日本では味わえない絶品!
葉が赤い珍しいパイナップル、いたる所に色々な果物が栽培されている。
ジャニバさんの庭先でお昼ごはん。
1500羽のアヒルが水田の雑草や虫を食べながら
移動している。
日本の合鴨農法にも通ずるところがある。


私達のプロジェクトはフィリピンの北部ベンゲット州で展開していますが、何かのきっかけでプロジェクトを知り、わざわざベンゲットまで視察に来て頂く方がたくさんいらっしゃいます。

今回のパラワンでの炭焼き指導は、現地の農業専門官グアダ氏(前回の現地レポート参照)から依頼されたものです。彼女は何年も前からこのプロジェクトについて強い関心を持ち、遠く離れたベンゲットにも何度も足を運んでくれていました。
確かに炭・木酢・堆肥をベースにした技術は多くの農家で活用可能で、農産物の安定生産・品質向上など大きなポテンシャルを秘めています。しかしいくらこれらの技術が優れていると言っても、現地の農家に伝わらなければ何の意味もありません。彼女のように熱意を持ち、多くの農家にこれらの技術を普及させたいと願い、行動できる方が私達のプロジェクトを支えてくれています。プロジェクトを応援してくれる人に感謝し、ますます頑張ろうと思いながらパラワンを発ちました。

次回はプロジェクトの本拠地ベンゲット州での活動について紹介したいと思います。

Copy Right 社団法人国際農業者交流協会