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-フィリピン技術協力事業 現地リポート-
(土壌・資源保全に配慮した安全野菜生産・流通プロジェクト)

No.2:灼熱のパラワン島で熱い炭焼きセミナー

皆さんこんにちは、現地調整員の古屋 誠です。
今回の現地レポートの舞台は、フィリピン南西の
パラワン島です。

常夏のパラワン

おそらく多くの人が想像するフィリピンの風景がパラワンにはあります。至るところにあるヤシとバナナの木。ムッとするような暑さと湿気。町を歩く人達はみんなサンダルにショートパンツで、1週ーを履いている人を見かけたのは、多く見積もっても5人はいなかったと思

パラワン農業や圃場の現状について話し合う
ジェイビスさんとプロジェクトスタッフ

おそらく多くの人が想像するフィリピンの風景がパラワンにはあります。至るところにあるヤシとバナナの木。ムッとするような暑さと湿気。町を歩く人達はみんなサンダルにショートパンツで、1週間の滞在中にスニーカーを履いている人を見かけたのは、多く見積もっても5人はいなかったと思います。

パラワンでは高い気温を利用してマンゴー、バナナ、パイナップル、ココナツなどのトロピカルフルーツを始め、イネ、ウベ(地域によってはオビとも云う)というイモを栽培しています。日本では馴染みのないウベは山芋に似た粘り気とほんのりとした甘味のあるイモで、蒸かして食べるほかにアイスクリームの原料として利用されています。

フィリピンではウベのアイスクリームが人気で、バイヤーから大量生産を求められてきたために、土壌を無視して連作されてきたという背景があります。今回要請を受けた農家のジェイビスさんを始め、多くのウベ農家が土壌病害に悩まされています。

 早速ジェイビスさんの圃場を訪れ、炭窯の建設に取り掛かりました。気温35度を超える中、農場の従業員さん達と力を合わせて1日掛かりで完成させました。

レンガを並べて炭窯の口を作っています。
炭の熱で土が燃えないようにドラム缶の下に砂利を敷きます。
水冷式の冷却装置、炭窯から出る煙を水で冷やして、効率的に木酢を採取する仕組みです。

翌日には地元の農家さん達を交えて木酢・炭・堆肥についての青空教室を開催しました。このセミナーのために数十kmも離れたところから参加する方もいて、30名を超えるなかなかの盛況でした。初めて聞く木酢や炭の効用に興味津々という様子で、セミナー中は質問が飛び交いました。

ジェイビスさん(中央の方)より歓迎の挨拶
主任技術指導員の横森氏より挨拶

炭焼きの資料を片手に横森氏の説明に
耳を傾ける農家の皆さん。
パラワン島担当専門官のグアダさん(左)と
ジェイビスさん(右)。
出来たばかりの木酢を手に記念撮影

セミナーの締めくくりに横森氏より農家の皆さんへメッセージを送りました。

地元の農家さんのところで
お昼を御馳走になりました

「木酢や堆肥を使っても土壌病害が改善するまではどうしても時間がかかります。それでも農業の基本である土作りの大切さを理解した上で、頑張って問題解決に取り組んでください。」

多くの方が私達の活動について非常に強い関心を寄せてくれまして、ぜひまた指導に来て頂きたいという有難いお言葉を頂戴しました。私達が紹介した技術が今後どのように発展していくのか非常に楽しみです。

今回紹介した農家以外にも熱心に木酢を活用している農家や研究者との出会いがありました。そちらのレポートはまた機会を改めてお伝えしたいと思います。

炭窯完成、ジェイビスさん家族とスタッフ一緒に記念撮影

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