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アメリカでの研修

山崎亮 (米2/石川県出身)

 

 将来国際分野で働きたいと考えていた私が、大学で海外の姉妹校の学生や留学生と共に「新世紀の食と農と環境を考える」と題し、学生サミットに参加する中、友人よりこの海外研修のプログラムを紹介されました。農業大学で学んでいた事もあり将来、農業部門における国際協力の分野に従事しようとする者という応募資格の項目を見た時、「これだ!」と思いました。

 そして、日本を離れ期待と共に不安一杯でアメリカの地に降り立ってから6ヶ月が過ぎました。その間、第1次学課研修を終え、アメリカで最初の実習となる短期実習は、3人の研修生と共にオレゴン州のHood River, K & D Kiyokawa Orchardから始まりました。

 そこでの私の仕事は主にナシやリンゴの収穫でした。アメリカでの最初の実習は、戸惑う事ばかりで、Bossの英語での指示を聞き違え失敗する事も多々あり、Bossに迷惑ばかりかけていました。しかし、そんな時Bossは、私の失敗に対し決して怒らず、それどころか冗談を言って笑って済ませてくれたりしました。そして、どんな時でも研修生の事を考えその人に合った仕事を与えてくれたと同時に効率の良い作業をいつも求めていました。そんなBossから指導者たる者、経営者たる者の多くを学ぶ事が出来ました。

 この実習では、他の研修生との共同生活も容易な事ではありませんでした。習慣も言葉も異なる地で慣れない仕事をする中で、中々うまく行かず厳しい磁気も有りましたが、共に3ヶ月仕事を通し、生活を共にしていく過程でお互いを理解仕合い、そして仲良く慣れた事は自分にとって学ぶ事が多かったと思います。また要領が悪く3〜4箱の収穫しか出来なかった仕事も、メキシカンや他の研修生の動きを観察し努力した結果、最後の収穫の時7箱収穫する事が出来、達成感と自信を得られました。この3ヶ月間の実習はBossそして、Bossの家族に本当にお世話になり楽しくかつ充実した実習を終えることが出来ました。

 今、私は12月中旬より、カリフォルニア州のSan Franciscoに程近いWilliamsで、幾つかの日本の会社が経営しているWilliams Rice Milling Companyという米の精米、販売そして栽培を行っている会社に配属され研修中です。今度の私の仕事は、クオリティ・コントロールという主に米の品質をチェックする仕事です。

 北陸地方は、良質米生産地として知られていますが、私の出身県である石川県も稲作農業が多いようです。でも、私の家は農家でもなく、農業大学を出たと言うだけで、米の品質など判る筈もなく、商品として出す前のチェックの仕事は会社の利益にも関る重要な仕事であり、そんな仕事を任され最初は不安で一杯になりましたが、先任の研修生からの教えと、メキシカン達のサポートもあり仕事も早く覚える事が出来、今では一人で仕事が出来る様になりました。

 会社では栽培したコシヒカリやアキタコマチなど「田牧米」ブランドとして販売しています。ここでの研修は、アメリカから見た日本の米問題など、貿易自由化、流通そして備蓄米など大学で学んだ農業経済も、又違う面から見ることが出来るかも知れません。

 研修も始まったばかり、これからです。日本にいた時とは違って色々不自由な事もありますが、1つでも多くの物を吸収しながらこれからも研修を頑張って行きたいと思います。


 
 
※この原稿は『北米報知新聞2月17日号』に掲載されたものです。