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サンタフェで研修しています」

中村明雄(米1:東京都出身)

   私は現在カリフォルニア州南部サンディエイゴ近郊、ランチョ・サンタフェにあるChino Nojoで研修しています。

 半年前、私はシアトルから約2日かけてグレイハンドバスで移動し農場に着きました。今でもシアトルからサンディエイゴ手前のオーシャンサイドまでのバスからの風景は印象に残っています。私の働く農場の周辺は主に高級住宅地・別荘地であり、当初来たとき自分のイメージとかなり違っていたのを覚えています。農場の規模は約50エーカーで約300種の野菜を一年を通じて生産しており、収穫した野菜は農場に隣接するベジタブルショップで販売し、またレストランにも多く納品しています。また、日本の野菜、その他珍しい野菜を生産していて、一年を通じて生産している野菜の名前を覚えるのも大変です。
写真:向かって一番右(前列)が本人


 研修生は現在4名で、その他メキシカンのワーカーが13名働いています。研修生の仕事は朝、ショップの開店、仕事前の準備、仕事中はボスからの指示をワーカーに伝え一緒に働き、仕事後の片付けをして一日の作業が終わります。一見、普通の日々ですが仕事中はすべての神経を集中していなければなりません。というのも仕事中では無駄な動き、余計な車の使用は許されず、現状を把握し、先の事を考えて行動しなければなりません。効率良くすばやく行動することがこの農場での絶対条件です。

  ボスはカリフォルニア大学バークレー校を卒業し、この農場を継ぐ前、癌研究所で働いていました。非常に聡明な方で、数日前の潅水場所、野菜の収穫収量など担当している研修生より覚えていることがあり、研修生は担当しているすべてを把握していなければボスからの質問に答えられず怒られることがあります。また野菜の品質には最新の注意を払っており、その理由としては顧客の多くがハイクラスの方々で野菜の価格もスーパーと比べ2〜3倍の価格で販売しているからです。他の大規模、大量生産の農場とは違いますが使用している機械も少なくほぼ手作業で作業を進めなければならないので日本で周囲に頼りきっていた自分にとっては良い勉強となっています。

 現在、仕事の中で大変なことは研修生全員ボスと常にコンタクトを取るための無線をもたされていますが、指示が一度に多く、また複雑なときもあり、その指示通り作業を効率よく進めなければならず、作業が遅かったり、間違ったりすると担当している研修生にすべての責任がくるので、ボスの指示通りに作業を終わらせることが毎日の目標です。

 仕事以外の話としては、研修生の休日は日曜日の午後のみで少ない時間を利用して周辺のショッピングモールなどに買物に行くことが多いです。また、海が近いので移動するときバスや電車から海を眺めることがリラックスできるときです。また、毎週木曜日に買い物に行くことも楽しみの一つです。

 最後に自分は農業研修という条件でアメリカにいますが現在自分にとって厳しい環境に身を置いています。この研修で何が得られるのか、何を勉強しているのか、仕事がハードなときは時々わからなくなります。でも、ハードな日々を続けることにより、よりはっきりと本当の目的が見えてくると思っています。


 
 
※この原稿は『北米報知新聞11月13日号』に掲載されたものです。