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「郷に入ったら、郷に従う」

藤原彩(米1研修生:長野県出身)
 
 ポートランドへ向うグレイハンドのバスの中で、これから自分を待ち受けている日々はどんなものなんだろうと想像ばかりがふくらみ、現実として受け止めることができませんでした。

 それから四ヶ月。自分らしく日々過ごせています。

 私の研修先はポートランドから一時間程の郊外にあるガストンという田舎町のグランド・カバー・プラント(庭木・苗木)を生産しているナーセリーです。研修生は私を含めて五人、ワーカーは三十人程でほとんどがメキシカンです。

 基本的に仕事は彼らと一緒にしますが、指示ややり方などはスーパーバイザー(ボスの直下で働く管理職の人々)から受けます。ワーカーとはスパニッシュ、スーパーバイザーとは英語で会話しなければならないので、当初はそんな環境に放心状態になることが多々ありましたが、今では大分慣れてきて、受け身になるだけではなく自分からコミュニケーションもとれるようになりました。

 このナーセリーの興味深いところは、数千種類のプランツがあるところです。大部分をメープル・コニファーが占めますが、その他にもめずらしいプランツが数え切れない程あり、少量多品目といった生産方法です。だから毎日、新しいプランツたちが私の目を楽しませてくれます。

 メープルに関して言うと、ボスがジャパニーズ・メープルにとても興味があり、メープルだけでも二百種類あり趣味の領域になっています。ボスが第一人者になったメープルもあります。驚きです。

 仕事はあらゆることをします。特に研修生は何でも屋といった感じで、仕事が途中であろうと、こっちだ、あっちだと、つれ回され、汗とほこりにまみれながら必死で走り回っています。女の子だからと甘く見られることも少なく、力仕事も多々あり筋トレをしているみたいに感じる時もあります。

 今している主な仕事は、ナーセリー拡大のためボスが買った農地にプランツを植える作業です。まさかこの広大な土地、全部、人力で植林する訳ないよなと思いましたが、そのまさかでした。決して楽な仕事ではないのですが、農地が木々たちで埋められていく過程は自分の仕事の形跡を感じることができ、満足感と達成感を与えてくれます。

 四ヶ月が経過し、確かに学んだことは山のようにあります。でも、私は学問的なことを学ぶよりもメキシカン・ワーカーと共に働くことから、もっと重要なことを学ぶことができると感じました。彼らから教えられることは本当に多く、自分の甘さも時にはいましめられます。「オーラ・アミーゴ」の世界は私にはとても魅力的でアメリカにいながら、私はメキシコを満喫しています。

 何はともあれ、この研修を終えた時の自分に早く会いたいです。期待せず失望しないくらいの気持ちで。

      

 
 
※この原稿は『北米報知新聞8月21日号』に掲載されたものです。