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きっかけ

原田尚美(スイス修生:香川県出身)
 


 スイスに来て約8ヶ月が経つが、様々な人に出会い、様々ところへ行き、楽しい事、嬉しい事、辛い事、悲しいこと、本当に色々な事があった。残り数ヵ月、更にたくさんの事に出会うだろう。そこでこの研修を通じて学んだ事、考えた事を書いてみようと思っていたが、今日は私がスイスへ来るまでの事を書こうと思う。

 実家は非農家で農業と出合ったのは2年前親に勧められ農大に入ってからだった。元々は農業に興味はなく、むしろ嫌いだった。だから農業に対してあまり良いイメージはなくて農大に通っているのが嫌だったが、年に一度全国の農大生が八ヶ岳に集まる行事に参加し、農業に対して熱い思いを持っている自分と同じ歳くらいの人たちに出会い、たくさん話をして、農業も悪くないなと思い始めた。この行事に参加した事によって自分の世界が広がったような気がした。そこで日本だけでなく他国で人と出会い、経験をし、更に自分の世界を広げようとこの研修に参加する事にした。

 去年の10月、日本で行われた事前研修で、私と同じように欧州研修に参加する農業を志している仲間に出会った。しかし、私はその時まだ農業も悪くないと思う程度でそれほどやる気がなく、自分のはっきりとした意見も言えず、「私はこんな農業をしたい」「ヨーロッパでこんな事を学びたい」と言い切っている仲間を見て自分が恥ずかしくなった。そして協会のスタッフからは「スイスへ行くのは1年遅らせた方が良いのでは…」と言われてしまった。私はこのときちょっと迷ったが、もし1年遅らせたらやる気がなくなる気がしたし、今年皆と一緒に行きたいと思い「今年行きます!」と答えた。渡航の条件として“自分の意見をはっきり他人に伝えられるようになる”と約束した―、が、この約束を果たせないままスイスへ来てしまったように思う。

 あれから1年…。やっぱりこの条件を満たしていないと思うが、毎日仕事をし、休みになると良き仲間と農業については勿論、その他の事について語り合い自分が成長しているような気がする。

 そして“農業が好きだ”とはっきり言える。今年スイスへ来てよかったと思っている。スイスへ行く決断がなかなかできず躊躇している私を後押ししてくれた家族、スイスへ来て悩んでいる時助けてくれる仲間、全てに感謝している。

 やらずに後悔するよりやってから後悔する方がましと思ってこれからも様々な事に挑戦して行こうと考えている今日この頃…。