Vaihingen-Enzよりこんにちは ~BioやDemeterについて~

桐谷 明香(ドイツ研修生:神奈川県出身)
    Grüß Gott! こんにちは。私は南ドイツのStuttgartに近いVaihingen an der Enzという市に住んでいます。ここはシュヴェービッシュ地方と呼ばれ、ヘルマンヘッセの「車輪の下」の舞台はまさにこの地域です。ここには独特の方言や料理がたくさんあり、とても興味深いのですが、やはり「方言」には苦戦します。同僚曰く「シュヴェービッシュはドイツ語じゃない」。そんな中、気づけば私のドイツ語も訛ってきた今日この頃です。

 そんな私の農場は有機野菜を栽培しています。ドイツでは有機食品のことをOrganicオーガニックではなく、Bioビオと呼びます。正確には食品だけでなく、化粧品や日用品にまでBioがあります。Bioのトイレットペーパーまで発見してしまい、うっかり「なんてこったい」と独り言を呟いてドイツ人から変な目で見られてしまいました。有機専門店のみならず、大手スーパーでもBioコーナーがある程ドイツではBioが身近なものとなっています。

 ところで、なぜドイツでは有機がオーガニックではなくBioなのか。BioとはBiologischDynamisch ビオロギッシュダイナミッシュ農法の略で、シュタイナー博士が提唱した有機農業の事です。意訳すると生態系動的利用農法となります。近代的な化学農薬などに頼り過ぎず、自然を知り、その恩恵を大切にした農業をやろう、とシュタイナー博士が提唱しました。ただ有機物(堆肥など)を使うという意味のオーガニックとBioの違いはここだと思います。例えば水など自然のものは形を変えながら循環していますよね。そして生態系のシステムからわかる通り、なにかしらどこかで繋がっていて、それがぐるぐる回っている。それをうまく利用しようとするのがこの農法です。とてもエコロジカルな考えですよね。

プレパラートの講習中
 このシュタイナー博士が唱えた農法を正統に受け継いでいるのがDemeterデメターで、Bioブランドのひとつです。そう、ドイツではそれぞれ独自のBioブランドがあり、たくさんのブランドがあります。私の農場はDemeterの認証を受けている農場で、このDemeterの行っている農法というのが、とてもスケールの広いものなのです。

 先ほど話した「循環」の範囲が宇宙にまで広がってしまうからです!

 例えば、私の農場では年に四回お祭りのようなイベントがあるのですが、この四回というのが春分に近いオースター(イースター)、夏至のヨハニーフェスト、秋分のミヒャエリフェスト、冬至に近いヴァイナーハテン(クリスマス)になります。それぞれ意味があり、ヨハニーではキャンプファイヤーのような大きな焚き火をやりました。これは色々燃やして宇宙にまで飛ばす、という意味があります。そして冬にまたそれが降ってくるというのです。他にも星の動きをみて、大まかな農作業を決めたりしています(もちろん細かい作業はそれぞれの農場主が決めていますよ)。宇宙にまで視野にいれるとは・・・ロマンあふれる農法です、これは。

 でも、毎日の農作業の内容は意外と普通だったりします。毎日せっせと働いています。

 そんなDemeterの品質とこだわりは、元祖Bioだけに市場でも評価を受けていて、主要なBioブランドのひとつです。有名なこだわりのひとつにプレパラートというのがあるのですが・・・その話はいつか気が向いたら報告しようと思います。

 それでは、Tschüß!


  
   


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