国際協力・国際貢献の分野で活躍するOB・OG
新野 有次(新潟出身、タイ在住/S54/ハワイ)


 国際連合食料農業機関(United Nations Food and Agriculture Organization)のアジア太平洋地域事務所(Regional office for Asia and the Pacific)で活躍する新野OBに、仕事の内容や若い時の海外農業研修の重要性について語っていただきました。

国際職員

 私は2003年1月からFAOアジア太平洋地域事務所でLand Management Officerとして働いています。主な任務は、アジア太平洋地域諸国の食料安全保障と持続可能な農業生産を促進するための土地利用管理方法、特に土壌と水保全のための土地資源の評価・管理、土壌肥沃度の維持改善等に関わる技術や政策作成を支援することです。その他には土地荒廃及び砂漠化対策、農業生物多様性の保全、気候変動対策としての土壌炭素固定、バイオエネルギー問題等に対応するための技術や政策作成の面からメンバー国への支援を行っています。

 FAOには約3,600人の職員が働いており、その多くはローマ本部に勤務していますが、各地域の状況に迅速且つ効率よく対応するために世界に5つの地域事務所が設けられており、当地域事務所はその中でも最大規模のものです。農業、林業、水産業、農業政策、農業経済、自然資源管理、農業普及、食品栄養等の分野で約60人の専門家が食料の安定供給と貧困の撲滅のために働いています。活動の概略は技術支援の他に政策面でのアドバイス、プロジェクトを通した直接支援、そして会議やワークショップを開催して地域各国の交流や協調の為の枠組みを提供します。

 国連に勤めて6年になりますが、それまでにJICA専門家等として経験してきたことはとても役に立ちますが、国連はまた違った環境です。

東北タイに分布する劣化土壌の野外調査

 振返ってみると20歳で大学を休学して参加した派米研修(ハワイ一年)を始めに、途中数年の国内勤務を除いて青年海外協力隊(ガーナ)、JICA技術協力専門家(ミャンマー、ブラジル)、留学(米国、ナイジェリア、ニジェール)、そしてFAO職員として17年以上海外農業技術協力に関わって来た事になります。勿論20年を超えて活躍されている先輩諸氏が多くいますが、気が付いたら自分も随分遠くまで来たものだと思う時があります。このように日本のニュースレターに投稿する機会でもないと、昨今の金融危機、食料価格高騰、気候変動、自然災害等次々と起こる事態の対応に追われ、時に自分のルーツを忘れがちになります。かつての日本の農民がそうであったように、発展途上国の農民が少しでも多く近代技術の恩恵を受けることができ、生活が改善されるよう、微力ながら手伝って行きたいと思います。

 日本の国内農業も変化しつつあり、農家の意識も変わってきていると感じています。海外農業研修制度は、国内の農業だけでなく海外農業、特に発展途上国の農業開発に大きな貢献をしています。当事務所にもASEANからの農業研修生として日本で過ごしたタイ人専門家が働いていますし、タイには多くの元研修生がいると聞いています。

 当事務所を訪れる日本の大学生に決まって言うことは、海外で専門家としてのキャリアを目指すのであれば、できるだけ早い時期に農業の現場・現実を体験することを薦めています。もう一つは、現場を知った上で、専門性を身に着けた方が良いということです。経験も大切ですが、それだけでは不十分だと。それから、先進国だけでなく、途上国での農業研修(体験)の機会も日本の若い農業に興味を持つ人達に海外農業の実際を経験してもらうだけでなく、日本農業の再考の機会を与えることにもなるのではないかとも思います。もしそういう機会があれば協力したいと思います。

 新野 有次  




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