『ベネズエラ滞在記』
〜連載 第3回〜


 JICA職員としてベネズエラに赴任された小金丸梅夫OB(千葉/S44/米1)からメールが届きましたので、ご紹介いたします。

ベネズエラ近況報告(3)

 親愛なる皆さんへ

 1月28日、日曜日午後13時から16時まで、カラカス市内の一流ホテルで、日本人会の新年会があり、女房と共に参加しました。参加者は古くからの移住者、日系企業駐在員、日本人学校、日本大使館、JICA関係者、及び日系社会と関係の深いベネズエラ人達、総勢200人余りの紳士淑女。高級日本料理屋の出前サービスで寿司あり、肉料理ありの立食飲み放題。それでも参加費は一人約2800円。余興として日系女性のプロ歌手とそのグループの歌と生演奏、それに数々の宝くじがあり大盛会でした。景品は日系企業や日系旅行社、ベネズエラ国内航空会社、国際航空会社、国内一流ホテル、日系レストランなどから提供されたもの。日本人学校で栽培された白菜から、ワイン、食事券、宿泊券、高級時計、デジタルカメラ、ステレオ・ミニコンポなどからコンチネンタル航空によるカラカス・東京間往復航空券まで、実に多彩でしかも約百人分のボリューム。JICA事務所からは我々夫婦と2組の調整員夫婦の計3組が参加し、景品4点を仲良くゲットしました。国内旅行券とデジタルカメラと電子置時計2点です。私の分は電子置時計です。過去に勤務したボリビア、ナイジェリア、アフガニスタン、マラウイなどでは想像もつかない豪華な新年会。この差は何処から来るのか。ベネズエラは昔から石油があって金があり、国民の購買力も高かったので、早くから日系一流企業が進出し、日本人ビジネスマン及びその家族がかなり滞在しているからだと思っています。

 先週金曜日の夜、一流スペイン・レストランでご馳走していただいた、N夫妻と長男さんも新年会に参加されていて、同夫妻から更に数人の友人を紹介していただきました。Nさんとはベネズエラで初対面ですが、不思議な縁で繋がっています。東京での学生時代、京王沿線のある医院に無料寝泊りしながらそこの夜間ガードマンをしていたのですが、その医院長の義弟がNさんなのです。今回ベネズエラ赴任するに当たり、医院長先生が義弟のNさんに小金丸君をよろしくと伝えてくれたわけです。という事は私のベネズエラ赴任の運命は、30数年前の学生時代に既に決まっていたのかもしれませんね。本当に私の人生には不思議と偶然が多いのです。Nさん夫妻は40年前に移住してきたそうで、コロンビア国境の街で長年雑貨商をしているそうです。2〜3ヶ月に一度カラカスに品物仕入れに出て来るそうです。自宅からコロンビア国境まで車で15分、昔は日系人が大勢いたらしいですが、治安が悪くなり日系人夫妻誘拐事件等があってから減少し、現在5〜6軒しか残っていないそうです。コロンビアのゲリラだか民兵組織に安心料として毎月数千円払っており、そのため危害を受けることはないと言っていました。それでも夜6時以降は外出していないそうです。スペイン語でチャべス大統領批判をしていると、当局に何処かへ連行されてしまうとも言っていました。やはりベネズエラは怖い国ですよ。Nさんの長男はこちらの大学の植物学研究所に勤務する若手研究者です。そのうち女房の手料理を食べながら協力隊員とも交流してもらおうと考えています。農業や環境分野の隊員もいますので、情報交換になるし協力関係ができるかも知れません。私自身もベネズエラで様々な用途に利用されている有用樹木について、勉強を始めているのでいろいろ教えていただこうと思っています。

 新年会では日本大使が挨拶され、東京での中南米大使会議や自民党議員、経団連等との会議でも、ベネズエラへの関心が圧倒的に多かったそうです。この国の大統領の過激発言や行動は日本でも大いに注目されているようです。今まで8年近く中南米を離れてアフリカやアフガニスタンに勤務し、中南米の潮流がどう流れているのかわからなくなっていたので反省し、最近毎朝出勤前一時間テレビ・ニュースをしっかり見ることにしています。電子辞書を片手にチャンネルを変えながら、ベネズエラ国内テレビ・ニュースやCNN、CNN(西語版)、BBCを見るのです。石頭で記憶力が低下していますので、これ以上の語学力の進歩は望めそうにありませんが、継続は力なりと言う人がいましたので、、諦めず続けて行きます。

 先日はチャべス大統領独壇場の番組を興味深く拝見ました。国内のどこかに政府が開設した農業専門学校を大統領が訪問し、生徒達にインタビューしているのです。アルゼンチンから導入したという乳牛や肉牛が見え隠れしていましたが、大統領の実家も牧畜農家なためインタビューも慣れており元気一杯でした。大統領は真赤な開襟シャツ、生徒達は真赤なポロシャツの作業服で、いかにも社会主義進行という意気込みを体全体でアピールしているのです。大統領は生徒一人一人を呼び握手し、氏名、年齢、出身地、実習満足度などをガンガン誘導インタビューし、農業共同経営化でこの地域の農牧業は大いに発展するに違いないなどと自信満々なのです。今やコルホーズも、人民公社も世界史から消滅し、自営農業や企業的機械化農業へと進んでいるのに、ベネズエラの農業政策はこれでいいのか、大いに疑問ですね。

 そう言えば先日国民経済省の共同経営化推進室の幹部2人がJICA事務所に来て、日本農協をモデルの一つとして共同化を推進したいので協力して欲しい、日本の農協組合関係法律の英文翻訳文はないかと言っていました。あるかないかご存知ありませんか。日本農協をモデルにしたいということで正直嬉しかったのですが、私のコメントは、「組合員は権利だけ謳歌するのではなく、その機能を維持するために義務(経費負担)も果たさなければならない。日本の農協は全て組合員だけで運営されていて、政府から派遣された公務員が組合長や会計役をやっているのではない。ベネズエラの農民はそれができるのか。過去に中南米諸国で農地改革があり、上からの強力な協同組合化が進められたが、政府から派遣された幹部に甘い汁を吸われ、汚職が横行し全部ダメになった歴史がある。ベネズエラは同じ間違いを繰り返さず、成果を上げる自信があるのか」ということで、厳しかったかもしれません。それで結論としてはカラカス近辺で実際農業共同化を進めている農村があれば、是非一度案内してくれ、その後に又検討しようということになっています。今後の展開ではベネズエラ農業・農村の実態に迫れそうで期待しています。

 随分脱線してしまいましたが、今日のNHK海外放送で経団連御手洗会長〔72歳)の一日を紹介していました。早寝早起きで4時起床、キャノン出社7時30分、経団連出社10時15分、毎日会議の連続で退社時間は夜9時半。凄い体力と気力で、まさに超人ですね。私は毎朝5時半起床で7時まで読書、それから一時間テレビニュース、徒歩通勤で帰宅は7時前ですから、誠にお恥ずかしいです。私も経団連会長に見習い、一念発起して4時起床にチャレンジしようかと思っています。

 前回連絡した国会議員の協力隊活動現場視察は、議員の国会日程により延期になりました。

おげんきで!

小金丸拝

 P.S 今回は残念ながら写真がないので、本文とは関係ありませんが、昨年末に自宅マンションから見上げられるアンデス山頂の国営ホテルまでロープウェイで登った時の写真を紹介いたします。

アンデス山頂ホテルへのロープウェイ

アンデス山頂ホテルとベネズエラ国旗


アンデス山頂からカリブ海を眼下に見下ろした景観



 




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