『ベネズエラ滞在記』
〜連載 第2回〜


 JICA職員としてベネズエラに赴任された小金丸梅夫OB(千葉/S44/米1)からメールが届きましたので、ご紹介いたします。

ベネズエラ近況報告(2)

 親愛なる皆さんへ

 ベネズエラ近況(2)をお届けします。今回は首都カラカスの街角の印象と、マンション住まいの様子をお伝えします。

ベランダからのカラカス市街景観

 カラカスの街はメキシコ市やクスコ市みたいにインディオの古代都市の上に造営されたのではなく、スペイン人征服者が新規に開いた村から発展してきた街だそうです。カラカス市は標高960mで、6階建てマンション最上階の我家は標高1000mあるかもしれません。この街は北側のアンデス山脈と南側の丘陵に挟まれた、幅数キロ長さ20キロぐらいの細長い谷間にあります。世界最長のアンデス山脈は最東北端がカラカスの街まで延びてきており、ここでも標高2,000数百メートルあります。山脈は一年中頂上まで緑に覆われています。3月まで乾季らしいですが、カリブ海で発達した雨雲がアンデス山脈を乗り越えてきて、時々カラカスの街に慈雨をもたらしています。そのためカラカスの街並木は灌漑しなくても、周年熱帯広葉樹の巨木が鬱蒼と繁茂しています。谷間の一番低い処にカラカスに出入りする一番幅広い道路が走り、小型機発着の小さな旧飛行場もあります。飛行場は軍が管理しているようで、前回報告した防災長官(大佐)からの招待による、ヘリコプター初乗りはこの飛行場から出発したのです。道路が混んでなければカラカス市内から国際空港のあるカリブ海沿岸まで一時間足らずで行けます。

ベランダから東方向のカラカス市街景観で、左側はアンデス山脈、右側はスラム街で覆われた低い丘陵


 カラカス市内の小さな旧飛行場から南側と低い丘陵地帯を下町とすれば、北側のアンデス山脈に繋がる緩やかな傾斜地が山の手ということになります。簡単に比較しますと山の手は高級オフィスと高級住宅街と言えますし、下町は建物が古く往来群集や失業者も多く、丘陵地帯の一部はスラム街に覆われています。スラム街といってもアフリカの貧困スラム街と比べれば、こちらは煉瓦造りの家が多く、少しは慰めにはなります。山の手は比較的治安はいいのですが、スラム街や下町の犯罪は中南米一悪いと言われています。

 JICA事務所は山の手の繁華街にあります。バルト海沿岸のリトアニアから移住してきたユダヤ人がオーナーらしい、18階建てオフィスビルの10階の一角を占めています。私は、JICA事務所からアンデス山脈の方へ、一直線5ブロック15分歩いて登ったところのマンションに住んでいます。JICA事務所からアンデス山脈の麓までの傾斜地は高級住宅地となっています。豪壮な一戸建てや高級マンションの庭には、マンゴーやアボカドやサポーテなど熱帯果樹が見られ、並木道のマンゴー巨木の下に駐車すると、落ちてくるマンゴーの実で、フロントガラスが壊されるという話も聞きます。もちろん熱帯花木もたくさん見られますが比較的雨が多いためか、前任地マラウイのリロンゲの街のように花咲き乱れる華やかはなさそうです。その代わり一年中新緑が一杯と言う感じです。毎日徒歩通勤してみて、カラカスの山の手街は中南米の何処の首都より綺麗で、気候も殆ど寒暖差なく、パリの街より断然美人も多いという印象をもっています。周年恵まれた熱帯の太陽と慈雨は植物の光合成のみならず、セニョリータの発育も抜群によく、世界の美人コンテスト総なめの国という噂も納得できます。カラカスの女性達のファッションは、プロポーションのよさを競争するかのようで、目の保養になっています。しかし今や私も57歳、独身でベネズエラに来ていたら、人生行路は大いに違っていたかもしれませんね。

ベランダから見上げるアンデス山脈で、
山頂に見えるのは国賓が泊まる国営ホテル
 我家は6階建てマンション最上階の家具付2LDKで、眺望が抜群に良くて、アンデス山脈の一部も、カラカス市全体もほぼ見渡すことができます。自宅ベランダからバードウォッチングも楽しめます。山の手街は緑が豊富で、花木や果樹の植え込みもあるので鳥類を惹きつけ、直ぐ側にねぐらになるアンデス山脈もあるからでしょう。マンションのすぐ横を片側2車線づつの並木道があって、車の騒音が玉に傷ですが、間取り、家具、眺望、広さも気に入っています。ガラス張りベランダの活用法として、アンデスの緑を見上げながらの週末朝食、カラカスの夜景を見ながらステレオ音楽鑑賞、週末思いっきり読書を楽しんでいますが、これからコミュニケーションが広がるに従い、協力隊員やその配属先官庁、NGO等現地要人達との国際交流にも、活用していこうと思っています。

 そのためには女房の機嫌を維持するのが肝要です。未だ車がないので週末は大人しくリュックを背負って、食料飲料その他ショッピングや散歩に付き合っております。ショッピングではファッションや高級ブランドにはさっぱり興味ありませんが、専門性からか農林水産物に俄然興味があります。スーパーにそろっている数々の野菜や果物、魚、酪農品など、国産と輸入品とは値段品質がどのくらい違うのか、食べながら勉強しています。残念ながら今までのスーパー調査では、刺身にできる新鮮な魚はまだ見つかっていません。やはり寿司で接客するとなると早朝暗い内にカリブ海の漁村まで車で下りて行って、直接漁師から買って来るしか方法がないようです。今月末に車が購入できてからの楽しみとなりそうです。

 一昨日初めて協力隊活動現場を一ヶ所視察しました。来週末は日本大使館からの依頼もあって、こちらのベネズエラ・日本議員連盟の国会議員5名を隊員活動現場に案内することになりそうです。次回は隊員活動現場視察やこちらの国会議員の同行案内の結果などを報告しますのでご期待ください。

 




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